2013年 07月 05日
女神がいた。 |
最近面白い本を読みました。
婦人画報に連載された、
作詞家安井かずみの評伝。
彼女が亡くなってもうすぐ20年なのですね。
この本は彼女を知る人達への取材を通して、今は懐かしくなった日本という国に勢いが感じられた時代の空気を読みとる事ができます。
10代の頃彼女は私の憧れの女性でした。
まさにミューズ、女神という感じで、
作詞家としてひとりの女性として自立しており、フランス語に堪能で、
海外の一流ホテルやレストランに、
オートクチュールファッションにも詳しく、セレブなんて言葉が存在する前から、生き方そのものがセレブな女性でした。
ブランドも高級ワインもリゾートの名前もみんな彼女の著作で教わったような気がします。
そしていちばん印象的だったのは、
お金があるから何でも買って良いというものではない、
一流品に相応しく成熟した大人にならなければ、ブランドは持つべきではないという一文でした。
今は情報が容易く手に入る時代。
次々と新しく高級なものが世に出てきますが、本当に価値のあるものを見落としてしまう危険もあります。
久しぶりに安井さんの言葉に触れて、
若い頃に憧れた彼女の生き方に改めて、
自分の美意識を貫いた壮絶な女性だったのだと深く感じ入ると同時に、
理想のカップルとしての加藤和彦さんとの生活に晩年は葛藤があって、
彼女の死後に持ち物から写真からあっという間に加藤さんがゴミとして処分した話は少し衝撃を受けました。
今の私は昔憧れた安井さんとは大違いの日々ですが、
それでも心のどこかにあの頃持っていた、美しいものや本物を大切にする気概を保ち続けられるように生きて行きたい。この本を読んで改めて安井さんに教わったと同時に、もうこんな女性は出てこないのだろうなあという確信にも似た予感に何だか寂しさも感じてしまいました。
それにしてもいよいよ眼鏡作らないと、
読書がツラいわ~というカッコ良くないオチがついたのが私らしいのでした(汗)
by chaforna
| 2013-07-05 12:46
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